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起業家支援、女性活用など政策とは名ばかりの過干渉が国力衰退を招く


小手先の名ばかり成長戦略は税金浪費と成長阻害要因になる アベノミクスの成長戦略と銘打った様々な政策が打ち出されています。中には多少、活力促進に役立ちそうなものもありますが、ホワイトカラー・エグゼンプション(いわゆる残業代ゼロ法案)やベースアップ要求・3年の育児休暇義務化など、企業に雇用コスト負担を求める過干渉は成長を促すどころか阻害要因になるだけです。

年収を保障されなければ起業できないサラリーマン気質の人に税金を使って起業を促す必要はない 政府はサラリーマンなどをやめて起業する人に年間650万円の生活費を最長2年間支給する制度を今年度中に始めるそうです。起業した当初に無収入になる不安をなくし、大企業などに勤務する優秀な技術者や研究者の起業を後押しする狙いだそうですが、自腹を切って起業している身としては、年収を保障されなければ起業できない人に起業家としての資質があるのか、大いに疑問です。 起業がリスクを伴うのは当然であり、一時的に収入が無くなる覚悟も出来ない人は、サラリーマンを続けた方がいいのではないでしょうか。自慢するわけではありませんが、私も起業にあたり、周囲から「どうせ駄目だよ」と言われ続け、当初は月給10万円で「情けないわね~」と嘲笑われましたが、「月給10万円で何が悪い」と思っていました。なんとか3期目に入った今もキャッシュフローとの戦いは続いています。 私は何も、リスクを取っている起業家の方が会社員より有能だとか、起業家の方が責任が重いなどと言うつもりはさらさらありません。現に、私のMITのビジネススクールの日本人同級生で起業したのは最も落ちこぼれだった私だけで、転職した人もしていない人も、皆さんそれぞれエリート会社員を続けています。 つまり、会社員と起業家とでは向く性質が異なり、お勉強の出来る人は会社員に向いているのです。当面の生活費が心配で起業に踏み切れないサラリーマン気質の人は体制に従順で忍耐強く、手堅いので勤務先の会社で重用されているでしょうから、税金を使って起業を促す必要はないのです。 起業に必要な資金は経営者の当面の生活資金だけではない それに、起業したからには、起業家の当面の生活費以外に運転資金や開発費用、その他諸々の経費がかかります。だから、経営者の経済状況や資金調達能力がビジネスの成否を分けるのです。当面の生活費を支給して起業を促すのが、いかに浅はかで場当たり的な対応であるか、多少でも経営感覚があれば分かりそうなものですが、残念ながらそこまで考えられる政策立案者はいないのでしょう。 私は3年無給は覚悟の上で起業しましたが、起業してから1~2年、あるいはそれ以上の生活費の算段を立てるか、あるいはビジネスプランの将来性を見込んでベンチャーキャピタルなり銀行なりエンジェルなりから資金を調達出来ないなら、そんななんちゃって起業家の事業計画では起業しても収益性は期待できません。 経済産業省所管の独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」の関連会社の契約社員なる形で給料を支給するそうですが、このNEDOなるものが新規事業の収益性を正しく見極める能力があるのかもはなはだ疑問です。最長2年と期限を区切っているとはいえ、2年で結果が出なかった場合、打ち切りが難しくなり、追加出資要請と詐欺は紙一重なので、だらだらと税金の垂れ流しが続くことが懸念されます。 起業家育成には生活費保障という小手先の政策より多面的な支援が必要 いくら政府が成長戦略というお題目でお膳立てしても、年収保障などという小手先の過保護・過干渉の下での起業が成功するとは考えにくく、況してや起業家育成の土壌が培われるとは到底思えません。 ベンチャーの育成は経済成長に重要な課題ですが、生活費を支給するという安易な考えの過保護は、ベンチャー育成どころか税金の浪費に終わるでしょう。「給料ありき」ではなく、「無給も覚悟の上で、この事業をやりたい」という真のベンチャー精神を持った起業家や将来性のある事業計画を多面的に後押しする政策が打ち出されるべきなのです。また万が一失敗しても再出発が可能な社会を目指す方が効果的ではないでしょうか。 女性管理職の数値目標も、欧米の猿真似では効果なし また政府は女性活用を成長戦略の重要課題に掲げ、女性管理職の割合を30%すると数値目標も提唱しています。「女性だから」と「上げ底」は違うので、数値目標はある程度、有効だと私は思いますが、制度だけ欧米の真似をしたところで、日本人男性の意識が変わらなければ成果は見込めないのではないでしょうか。 東大の秋入学同様、「欧米がそうだから国際標準」だと実行したところで、蓋を開けてみれば定員割れだったように、その制度の意味をちゃんと理解して制度設計をしなければ、単なる猿真似に過ぎません。本気で女性活用を目指すなら、デメリットにもきちんと対峙し、個々に状況を吟味した上での対応が必要なのです。 女性活用を謳いながらセクハラ隠蔽、育児休暇3年の愚策 また女性活用(最近では「活用」ではなく「活躍」に置き換えられています)と謳いながら、税金で雇われている都議会議員のセクハラを厳罰に処すべきなのに、本当に必要な措置を行わず、政策とは名ばかりの過干渉を付け焼刃で唱えても、根本的な改善にはつながりません。 育児休暇を3年まで延長するのが愚策であることは女子大生でも分かるでしょう(これもちょっと差別的な表現ですが、あえて、ですね)。企業にコスト負担を強制したら、「女性を雇うと余計なコストがかかる」と女性の就労機会の妨げになります。 女性が働きやすいインフラ整備が他の先進諸国に比べ日本がかなり遅れているのは日本人男性の意識にあるのに、その意識の低さの表れであるセクハラ発言を処罰もせず、もみ消すのは言語道断です。日本で女性活用が遅れている根本的な理由を真摯に受け止め、これまでの社会形成で女性登用が進まなかった原因を正しく認識し、そこから是正する必要があるのではないでしょうか。 モノ言わずして改革なし、税金浪費阻止なくして成長なし 政策という名の過保護・過干渉が成長を阻害するのは、企業や納税者に負担を強いるだけでなく、自立的・自発的な改革の目を摘むことにもなります。 国の主導で成長を促進しようとするのはいいのですが、浅はかで間違った政策を押し付け、厳しい規制で企業負担が増えれば、成長促進どころか自立的な企業活動の阻害要因となり、国力の衰退につなります。 表面的には効果がありそうに聞こえる、人気取り・票目当ての姑息な政策は税金浪費であり、議席にしがみつく無能な政治家を温存するだけなので、知性ある納税者が声を上げてモノを言い、政策という名の過干渉に立ち向う必要があると私は思います。 ©(株)ライフワーク・アドバンス代表 岡田ひろみ

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