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大学入試は独自の選考基準でいい


大学入試選考において女子学生や多年浪人生等に不利な合格基準を適用した不正が批判を浴びましたが、私は透明性を担保すれば大学は独自の多様な選考を設けるべきだと考えています。

私は合格実績皆無だった無名県立高校から一発試験で慶應に入ったので、日本の入試制度はなんと公正なものだと感じ入っています。また大学院進学では、多様性を重視する米国の多面的な入試選考基準により、日本人女性、文系出身、私費留学、外資系勤務などの経歴が有利に働き、MITスローン修士に潜り込みました(MIT史上最大の異物混入事件かもしれません)。バブル後期のMBA留学は企業からの派遣留学生が大多数だったので、MITの日本人同級生から「あなたは女性だからMITに入れたんでしょう。慶應の文学部じゃ、男だったらうちの会社じゃ支店営業ですよ」と言われました。後年、彼の会社は自主廃業し、同業界最大手では私の文学部の同級生が女性初の本部長に就任しました。

自分が多様性を重視する米国の入試選考基準の恩恵を受けたから、日本の大学も模範にすべきなどと言っているのではありません。現に東大の修士課程も「海外では多くの大学の入学時期が秋だから」という理由で秋入学を実施したが定員割れだったように、闇雲に海外の制度を採り入れても無意味です。ただ欧米の真似をするのではなく、目的を明確にして柔軟に制度を変え、その目的に沿った独自の方法を実行するべきなのです。

もし入学試験で現役男子学生を優先的に入学させたいなら、世間の評価など意に介さず「本学は女性および多年浪人生は入試で現役男子学生より高得点を要求する」という独自の選考基準を公言し、合否判定での受験生の取得点数も必要に応じて公開すべきです。そうして独自の方針明確にすれば、「それでも我こそは」と意欲ある優秀な学生を獲得できるでしょう。また「一定の点数に届かない受験生については、それを補完する寄付金の額や本学に有益となりうる係累の有無を勘案し個別に選定する」と公言すれば、学力不足の学生でも裏口入学でなく立派な正規合格となります。

学力一辺倒の入試選考基準が当たり前とされている日本社会では、それ以外の判断基準は「不正」ですが学力はあくまで、その時点での人間の多面的な能力の一部に過ぎません(私が言うと自己弁護に聞こえるでしょうか・・・)。各大学が独自の方針を明確に示し、それに基づいた合否判定基準に透明性があるなら、受験生もその方針を吟味して大学を選べるし、大学も望ましい学生を入学させられるでしょう。学生数不足に悩む大学も、高学力の学生には授業料の減免をするなどの優遇措置を講じるなどすれば優秀な学生を得られるでしょう。

画一的判断基準が時代の変化に追いつかず放置されているから不正や改ざんが横行するのです。形骸化した規則や制度を見直し、柔軟に対応し改革が必要なのは大学入試だけではありません。就職においてもようやく通年採用拡大に向かっているとのことですが、他社や所属する団体がどうだのと言っていたら、採りたい人材を採用できるはずがありません。

(株)ライフワーク・アドバンス代表 岡田ひろみ

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