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ひどい政府は愚かな民が作る‐「学問のすすめ」から


奥さんの出産直前に育休を取ってグラビア嬢を自宅に連れ込んだ議員が辞職しましたが、国会議員の素行のみならず、国のやることが時代に追いついていない現実は嘆かわしい限りです。

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業がシャープと買収交渉に入りましたが、ちょっと前までシャープは官民ファンドの産業革新機構からの出資を受け入れると報道されていました。けれども鴻海が対抗して支援額を上積みし判断が傾いたとのことですが、この決断は支援額だけの問題ではないでしょう。会社の将来を託すのは、産業革新機構よりも鴻海、という経営判断は極めて賢明だと思います。税金の無駄遣いを回避できる点でも良策でしょう。そもそも何の経営ビジョンもない産業革新機構が税金を使い、銀行にも協力を要請して支援したところで、シャープ再生が成功するはずはないのです。

前回の記事でも書いたように、液晶技術の海外流出懸念だの何だのといったところで変化の激しいIT技術を税金を使って囲い込もうという発想自体がナンセンスで時代遅れなのですまた不採算の企業や部門を寄せ集めて再生しようとしたところで、シナジーも何も生まれなければ再生なんて望むべくもありません。産業革新機構の主導で寄せ集めたルネサスエレクトロニクスを見れば分かりそうなもんですが・・・。

ところで私は塾員のはしくれなのに、福沢諭吉先生の「学問のすすめ」を読んでいませんでした。最近、知合いのお子さんににプレゼントしようと子供向けの現代語訳を手にしたところ、素晴らしい内容だったので、学問のすすめ 現代語訳(ちくま書房) 福沢諭吉著 斉藤孝訳 を購入し、一気に読んでしまいました。

「学問のすすめ」によると、ひどい政府は愚かな民が作る、そうです。以下、同書から引用です:

世の中で学問のない国民ほど哀れで憎むべきものはない。知恵がないのが極まると恥を知らなくなる。(中略)愚かな民の上に厳しい政府があるとすれば、よい民の上にはよい政府がある(中略)。いまこの日本においても、このレベルの人民があるから、このレベルの政府があるのだ。

もし国民がみな学問を志して物事の筋道を知って、文明を身につけるようになれば、法律もまた寛容になっていくだろう。法律が厳しかったり寛容だったりするのは、ただ国民に徳があるかないかによって変わってくるものなのである。

そして福沢先生はダメな政府に対して取るべき手段も書かれています。

「身を犠牲にして正義を守る」とは、天の心道理を信じて疑わず、いかなるひどい政治のもとで、どんな過酷な法に苦しめられようとも、その苦痛に耐え、くじけず志を持ち、何の武器も持たず、少しの暴力も使わず、ただ、正しい道理を唱えて政府に訴えることである。(中略)道理をもって政府にせまれば、そのときその国にある善政や良法はこれによって少しも損害を受けることはない。

読んでいるうちに、まさしく背筋が伸び、今更ながら福沢先生の偉大さを実感しました(まさに、今更、ですね・・・汗)。とかく政治家は人口の多い老人の耳当たりのいい政策ばかりを打ち出しがちですが、それは無学な国民の責任でしょう。女性活躍といいながら配偶者控除に手をつけず、低所得の老人に三万円のお小遣いを支給するなどの愚かな政府ではありますが、それを正すためには一人ひとりが政策に関心を持ち、是正を求めるしかないのです。

ただ国がダメだと訴えるだけでなく、企業人ならば仕事を通じて社会を良くするために活動することも重要ではないでしょうか。いでやこの世で仕事をするからには、時代遅れでナンセンスな政策に捕らわれず、積極的に新しいことに挑戦して行きたいものです。

©株式会社ライフワーク・アドバンス代表 岡田ひろみ

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