top of page
Follow Us
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
Archive

会社のために働くなかれ


ミクシィやグリーなど、IT会社が追い出し部屋に社員を入れてリストラしているそうですが、新興企業でも日本で生まれ育った会社は古典的な雇用調整手法を使うものだと意外な印象を受けました。 日本では解雇規制が厳しく、人員整理が簡単でないと言われ、解雇規制についていろいろと議論されていますが、実際には会社に「いらない」と判断された人材に給料を払い続けられる会社がそんなにあるわけないでしょう。 私が昔、こんな感じの外資系銀行の為替ディーリングルームで働いていた時のことです。

ある日、突然・・・ ユーロが導入された直後、若いディーラーが入社して来ました。ユーロ誕生によりドイツマルクやフレンチフランなど通貨の数が減ったのに、どうしてディーラーを増員するのかな、と思っていたら2,3か月後に年配のディーラーが二人、いなくなりました。 若い方がコスト(給料)が安いので、若いディーラーの試用期間が明けて後釜として機能することを確認した後、銀行は年配の二人を切ったのでした。 同じ銀行での話です。私の隣の席に座っていたセールス・ディーラーが昼休みの時間が終わってだいぶたっても席に戻ってきませんでした。私はそのまた隣の人と、「どこ行っちゃったんでしょうね」と話していたら、その隣の隣の人もやがて席からいなくなり、その後戻って来ませんでした。 その日の夕方、セールス部隊を集めて部長から「彼ら二人はしばらくお休みに入ってもらう」というアナウンスがありました。 自分の席でその話を聞いていた私は、隣の席の人への来客を告げる受付からの電話を取ってしまいました。その日に解雇されるとは予想だにしなかったのでしょう、新聞の取材のアポがあったようでした。私が「あのー、○○さんにお客様がいらしてるそうなんですけど・・・」と言うと、部長さんに「急用ができて早退したと伝えて下さい」と指示されたので、受付にはそう伝えました。

会社への忠誠心はいらない こうして私は、会社への忠誠心はいらない、ことをイヤというほど実感し、それが信条となりました。 ちなみに冒頭の若いディーラーも私がまだその銀行にいる間に、ある日突然いなくなりました。また、私がこの銀行から転職した数年後には、上記のセールス部隊の部長さんと、ディーラーの入れ替えを指示する立場だったディーリング部隊のヘッドは二人とも銀行をお辞めになったそうです。お二人とも既に50歳代だったので、転職には難儀されていたらしいと風の便りに聞きましたが・・・。

仕事は会社のためならず 終身雇用制は事実上崩壊しており、会社は雇用を保障しないのですから、いつでも転職できるように、いい仕事をするのは重要です。仕事の質を上げるのは自分のためで、会社のためではありません。 起業して人を雇う立場になっても、この信条は変わりません。社員がいつでも転職するのは自由だし、会社に何の義理も感じる必要はないのです。会社にしがみつかなくてもいいよう、他社でも通用するポータブルスキルを身に着けるのは誰にとっても重要です。ですから優秀な社員を確保できるよう、会社として出来ることは何か、と考えなくてはなりません。 希望退職を募ると優秀な人材から辞めて行くのは当たり前で、有能でやる気がある人なら、傾きかけた会社にしがみつくより外に出て他の道を探すでしょう。大きい会社に入って定年まで勤めあげるのが安定した職業人生だった時代はとっくに終わっているにもかかわらず、まだまだ解雇や転職、リストラには後ろ向きなイメージが残っていますが・・・。 ある会社で「いらない」と判断されたとしても、それが社会人として不適格だと烙印を押されたわけではないし、まして会社員生活が終わり、というわけではありません。労働市場に流動性があれば、転職してもっと自分を評価してくれる会社にめぐり合う可能性もあります。社員は一定期間、労働を提供してその対価として給料を貰うのですから、会社と社員の立場は対等です。会社が社員を選ぶように、社員も会社を選べるようになる必要があります。 長年の会社員経験を経ている分だけ、社員の気持ちを汲み取り、社員に選ばれる会社運営をしようと思っています。そして、労働市場の流動性向上と働き方の多様化に貢献したいとも考えています・・・。って、またしても我田引水でしょうか・・・??? ©株式会社ライフワーク・アドバンス・代表 岡田ひろみ


bottom of page