人材の多様化には採用手法を多様化すべし
女性活躍推進や外国人の採用の拡大など、人材の多様化が求められています。国が企業に女性活用を促しているのは家庭に埋もれている潜在能力を引出し、税収を増すのが目的でしょう。
一方で、企業における多様な人材活用の目的は、ビジネス上のシナジーによる業務の効率化・収益向上ではないでしょうか。
これまでの男性中心で会社に盲従するだけの働き方では企業活動の発展も望めないという実情を変える必要に迫られています。だから女性や外国人など、多様な人材を積極的に活用することにより、長時間労働の改善や年功序列の給与体系、終身雇用制などの因習是正という効果が期待されます。
女性管理職を増やすための女性への研修実施や、女性を指導する側の意識改革も必要ですが、男性に比べ絶対的に女性社員の数が少ない場合は、管理職にふさわしい資質を備えた女性社員が十分にいるとは限りません。
ですから社内育成だけでなく、社外からあらゆるタイプの人材を中途採用するのも一案でしょう。その際、従来どおり人材紹介会社に「年齢は何歳まで、同業経験何年以上」などとオーダーを出したところで、異彩を放つ人材の採用が期待できるでしょうか?
いっそのこと、年齢・経験・国籍不問など大胆に条件を広げ、あらゆる人材を採用の選考対象にしてはどうでしょうか。そして採用手法も多様化し、既存の人材紹介会社に頼るのでなく、別の採用手法を検討すべきではないでしょうか。
例えば外資系企業では、業界つながりで同業他社からエージェントを介さず、直接引き抜いて採用することはよくあります。最近、同業者間でエンジニアをはじめ優秀な人材の争奪戦が激化しているシリコンバレーでは、他社からの引き抜きをお互いに自粛する紳士協定が結ばれているそうです。
また以前、私が勤務していた会社では、社員が友人や知り合いを会社に推薦し、その人が一定期間以上勤続し、定着した場合には、紹介した社員に数千ドルの謝礼(インセンティブ)を支払うシステムがありました。社員の紹介による採用は、スペックだけに頼ったリクルーティング会社の紹介とは違うスキルや経験を持っていることが期待されると同時に、転職市場に出てきていない人材が発掘できるというメリットがあると考えられているのです。
従来と違うタイプの人材を採用し、多様化を図るためには、画一的な採用手法を改め、採用基準も多様化する必要があるのではないでしょうか。
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©株式会社ライフワーク・アドバンス 代表 岡田ひろみ
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