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オンライン講座(MOOC)は偏差値序列を凌駕するか?


大学講義を無料でネット配信する「MOOC(ムーク)、Massive Open Online Course(大規模公開オンライン講座)」はアメリカで始まり、英語圏や新興国で新たな学び方として急速に広がっています。 「edX」は、ハーバード大学やMITが世界中の人たちに最高品質の高等教育を届けることを目的として非営利で運営されている、オープンソースのオンライン教育プラットフォームです。また、edXは、オンライン教育テクノロジーが各大学の在学生の学習と教授陣の研究をどう変え、強化するかを分析し、教育の質の向上に役立てようとする試みでもあります。

「世界の目」が大学に変革を迫る 海外の大学では学生が教師を評価するシステムがあります。各学期ごとに学生が教師を評価する点は、授業の内容に興味が持てたか、よく理解できたか、採点は適切だったかなど教育指導面だけではありません。 学生に接する態度が差別的だったり不遜ではなかったか、公平で公正だったかは勿論、授業以外の時間も良好に接したか、など定性面(人柄?)も評価対象になります。学生による評価は教師にフィードバックされ、良好な評価を得れば報酬や担当授業・研究に反映されるし、評価されない先生は改善を求められ、改善が見られなければ残れないという、ビジネス界と同様の競争原理が働いています。 ですからオンラインとはいえ世界の一流大学の教授陣と同じ土俵に上がることで、世界中の老若男女からの評価を意識した運営、実践的な学習機会の提供へと改革が迫られるでしょう。 日本でも放送大学や東京大学、NTTドコモなどの産学が連携し、推進組織を設け、2014年春に始まるそうです。日本版MOOCは、象牙の塔にこもりがちな日本の大学の目を世界に向け、大学教育に変革をもたらすと期待されます。

東大も英語でオンライン講座を開講

東大も、コーセラ(Coursera:スタンフォード大学のアンドリュー・ネグ准教授とダフニー・コーラー教授によって2012年1月に設立されたソーシャルベンチャー企業)で2つの講座を開講しました。

東京大学が9月に開講するのは、政策ビジョン研究センター安全保障研究ユニット長・大学院法学政治学研究科 教授の藤原帰一氏による「戦争と平和の条件(Conditions of War and Peace)」と、カブリ数物連携宇宙研究機構 機構長・特任教授の村山斉氏による「ビッグバンからダークエネルギーまで(From the Big Bang to Dark Energy)」。いずれも英語で配信する。東京大学 副学長・教育企画室長の吉見俊哉氏は、「それぞれの分野の世界的なトップランナーで、英語で魅力的な講義をできる、グローバルな教養人を選んだ。これが東大の授業だということを示したい」と意気込む。(日経パソコン:2013年2月13日より引用) 別に東大に恨みがあるわけではありませんが、折角、世界に向けて日本の高等教育をアピールするなら、日本に興味を持っている人が、日本でしか学べない内容を教えるのも有益ではないでしょうか。よりグローバルに学びたい人たちに日本ならではの学術研究を紹介したいなら、まずは日本にしかない、東大だからこその「知の蓄積」を公開した方が世界の名だたる大学の中で差別化できるのではないでしょうか。秋入学もそうですが、ただ「海外でやっているから」というだけで横並びで参入しても、ねぇ・・・。それに、下手に「英語での講義に耐えうる教授」に限ると、発信する情報も限られてしまいます。 例えば先日、日本で働いている若いヨーロッパ人に「どうして日本に興味を持ったの?」と尋ねたら、「子供の頃から日本のアニメを読んでいて親しみを持ったから」というお返事でした。かの地では、現地語に翻訳されたアニメ(ナルト等)を、子供たちが絵本のように日常的に読んでいるそうです。そうして日本に興味を持ち、日本語学習の短期滞在を経て日本に来たというのですから、そういう若い人たちを日本に呼び込む、日本に関する授業への潜在需要も大きいのではないでしょうか。 日本に興味があると、日本語学習に興味がある人もいると考えられます。夏目漱石でも三島由紀夫でも村上春樹でも、海外で読まれている日本の文学や、アニメやオタクのサブカルチャーに関する講座を平易な日本語、または英語の解説付で行うなども・・・。政府主導型の経済運営の例として戦後の日本経済復興が海外のビジネススクールのケーススタディにも使われているので、経済学や歴史、国際関係などの分野でも日本ならではのニッチな需要があるのではないかと思われるのですが・・・。

学びの場が増えれば就業機会も増える オンライン講座が即、実務での即戦力につながるわけではないにせよ、世界中の最先端の教育内容へのアクセスには、多大な可能性があります。最先端の研究内容を学んでいることで、就職や転職あるいは今いる職場で、やる気と能力をアピールすることも出来るでしょう。 またオンライン講座は、講義の内容がキャプション(テキスト)で表示されるので、英語を母国語としない人たちにとっては英語学習にもなります。スピードを調整したり、繰り返し学習したり、知らない単語を調べながら理解することも出来るので、留学準備などにも役立つでしょう。 好きな時に好きな場所で学べることは大きな利点です。やる気さえあれば、あらゆる知識を吸収できるので、学ぶ機会が格段に広がります。特に日本では、出身大学によって制限されていた偏差値序列を凌駕し、学歴より「今、現在持っている知識とスキル」を重視した採用へと就業機会が広がると期待されます。

余談ですが、edXでは、インターネットのアクセスに制限がある地域で動画が見られないこともるので、その場合は直接ダウンロードして再生する方法について指示もあります。北京に駐在している友人がインターネットでNew York Timesのページが開かない、と嘆いていましたが、そういう所でもアクセス出来るように工夫しているようです(実際に出来るかどうかは、まだ試していませんが・・・)。 岡田ひろみ 株式会社ライフワーク・アドバンス・代表 グローバル人材関連企業経営

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